内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)鎮静剤投与の説明および同意書
鎮静剤は検査の苦痛や不安を軽減することを目的としており、完全に意識をなくすことを主目的とはしていません。 鎮静剤の効果には個人差があり、意識がボーっとするような効果の後「いつの間にか終わって楽にできました」、 嘔吐反射の刺激で覚醒が促され「意識があって効果がなかった」など感想はさまざまです。また、無意識に暴れてしまい危険な場合には、医師の判断により検査の続行不可能や観察不十分になる事もございますのでご了承ください。ご希望に添えない場合もございますが、可能な限り寄り添いサポートし苦痛の軽減に努めます。
鎮静剤の使用について
鎮静剤は、前処置、末梢静脈路確保後検査直前に静脈から鎮静剤を投与して内視鏡検査を行います。 検査後は、鎮静から覚める薬(拮抗薬)を注射し経過観察のため、一定時間お休み頂くことになります。 眠気やふらつきが検査後も残る場合がありますので、当日の車・バイク・自転車の運転は危険ですのでおやめください。 万が一、事故を起こされましても当院は責任を負いかねます。(道路交通法第 66 条に薬物使用時の車両等運転禁止について 制定されています)
鎮静剤の偶発症
鎮静剤には低頻度ではありますが、一定の確率で偶発症が報告されています。
当院で用いる鎮静剤の主な偶発症には以下のようなものがあります。
- 呼吸抑制・・・低酸素症、呼吸停止、チアノーゼの出現、いびき
- 循環抑制・・・血圧低下、徐脈、不整脈
- 覚醒遅延・・・検査後の眠気、注意力散漫、一時的記憶障害、ふらつき、転倒
※日本消化器内視鏡学会医療安全委員会での2008年~2012年までの5年間の全国調査によれば、前処置に関連する偶発症は472件(0.0028%)。 このうち鎮静・鎮痛剤関連が46.5%(219例)ともっとも多く、死亡者数は4例報告されています。
偶発症のモニタリング
徐脈、低血圧、低酸素症など偶発症の徴候を見逃さないよう検査中は自動血圧計、パルスオキシメータを装着し、顔色や呼吸数などの観察を行います。それらの徴候が確認された場合、鎮静剤の拮抗剤投与などの対応を行い、検査自体を中止することがあります。
状態の変化を早期に察知するためネイル、口紅、装飾品、ピアスは必ずお外しいただいた状態でご受診ください。 また、検査後は院内にて一定時間の安静・経過観察を行いますので、時間に余裕をもってご来院ください。
万が一、偶発症が起きた時は適切な処置を行います。入院が必要と判断した場合は入院施設への転院手配を行います。当院と紹介先での処置にかかる医療費と交通費は原則として受診者様の負担となりますのでご了承ください。
鎮静剤・拮抗薬の禁忌について
以下に当てはまる方は原則鎮静剤・拮抗薬の投与が禁止されています。
- 急性閉塞隅角緑内障と診断されている方は眼圧が上昇し症状を悪化させることがあります。治療中の場合は事前に眼科医の許可を得ることをお勧めいたします。
- 重症筋無力症の方
- ドルミカム、アネキセート、ベンゾジアゼピン系薬剤に対し過敏症の既往のある方
- 長期間ベンゾジアゼピン系薬剤を使用しているてんかんのある方
注意事項
- 授乳中の方へ︓授乳中の場合は動物実験にて使用薬剤の乳汁への移行が報告されておりますので、念のため検査実施後より当日の授乳をお控えください。
- 高齢者、妊娠中の方、その他ご質問につきましては事前にご予約中の施設に直接お問い合わせください。
※持病の内容により危険が伴う場合には担当医師の判断により検査不可となる可能性があります。
使用を希望される方は、事前予約にて承っております。原則当日の申し込みは行っておりません。安全に検査を行うために鎮静剤を実施できない日時もございます。その際は日程調整をさせていただきます。