腫瘍マーカー検査って何?がんの疑いは血液から分かることも

  • 腫瘍マーカー

有用性の高い腫瘍マーカーは?

細胞の一部が異常に増殖し、かたまりになったものを腫瘍といいます。腫瘍は良性と悪性に分かれますが、悪性のものがいわゆる「がん」です。体内にがんができると、血液や尿の中に健康なときにはほとんど見られない物質(タンパク質、酵素など)が出現します。この物質を「腫瘍マーカー」といい、血液や尿に含まれるその濃度を測定して、がんの有無にあたりをつける検査を腫瘍マーカー検査といいます。

もともとは、がん患者さんの治療効果がどの程度出ているかを判定したり、治療後の経過観察をしたりするために用いられてきたものです。しかし現在は、がんの有無を推測する「手がかり」の一つとしても用いられるようになりました。腫瘍マーカー検査の結果、数値に異常が見つかれば、CT検査やMRI検査など他の精密検査を行ってがんの疑いを総合的に判断していきます。

仮に、腫瘍マーカーの数値に異常があったとしても、即座にがんの疑いが強まるわけではありません。腫瘍マーカーの数値は良性の腫瘍でも上がることが多々あります。また、肝炎、糖尿病、子宮内膜症など、がん以外の病気で上がることもあります。喫煙や服用薬も数値に影響を与えます。腫瘍マーカーはあくまでがんの有無を判断する材料の一つと捉えておくのがよいでしょう。

がんに特有の物質、腫瘍マーカー

がんには臓器別にさまざまな種類があるように、腫瘍マーカーにもさまざまな種類があります(50種類以上)。そのうち検査結果の有用性が高く、広く用いられているものがいくつかあります。その一つが、前立腺がんの早期発見に役立つ「PSA」です。PSAは前立腺だけに存在する物質で(前立腺特異抗原)、がんや炎症により前立腺組織が破壊されるとその数値が上がります。数値が4ng/mlを超えると陽性と判定されますが、前立腺炎や前立腺肥大症などでも数値は上がります。

「CEA」も有用性の高い腫瘍マーカーの一つです。こちらは、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんなど罹患率の高いがんの判定に用いられます。数値が5ng/mlを超えると陽性と判定され、特に消化管にできるがんで陽性率が高まります。また、慢性肝炎や糖尿病を患っている患者さんに高い数値が出やすく、喫煙量に比例して上昇するという特徴もみられます。膵臓がんや甲状腺がんの診断にも用いられます。

PSAは男性に特有の腫瘍マーカーですが、対して「CA125」は卵巣がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)など婦人科領域のがんに関する腫瘍マーカーです。数値が35U/mlを超えると陽性と判定されますが、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫などでも数値が上がります。また、CA125は女性ホルモン(エストロゲン)によって生成が促進されることから、月経中や妊娠初期などに数値が上がる傾向もあります。検査の際はそれらの期間を避けるか、事前にその旨を検査担当者に伝えておきましょう。

いずれの腫瘍マーカーも、「要精密検査」という結果が出たら、早めに医療機関を受診してください。前述のとおり、腫瘍マーカー検査はがんの発見を手助けする手段の一つですから、検査結果だけで一喜一憂する必要はありません。精密検査の結果、がんではなかったというケースもよくありますので、要精密検査になっても「身体を詳しく調べるきっかけができた」と前向きに捉えていただければと思います。

検査可能施設

<東京>

施設名アクセス
進興クリニック大崎駅直結 徒歩約2分
進興クリニック アネックス大崎駅 徒歩約2分
オーバルコート健診クリニック・大崎駅 徒歩約5分
・五反田駅 徒歩約9分
セラヴィ新橋クリニック・新橋駅 徒歩約9分
・御成門駅 徒歩約6分
・内幸町駅 徒歩約5分
・虎ノ門ヒルズ駅 徒歩約9分
浜町公園クリニック浜町駅 徒歩約2分
立川北口健診館立川駅 徒歩約5分
東京ダイヤビルクリニック・茅場町駅 徒歩約8分
・八丁堀駅 徒歩約8分
浜松町ハマサイトクリニック・茅場町駅 徒歩約8分
・八丁堀駅 徒歩約8分

<名古屋>

施設名アクセス
ミッドタウンクリニック名駅名古屋駅直結 徒歩約1分

<仙台>

施設名アクセス
せんだい総合健診クリニック・あおば通駅 徒歩約6分
・仙台駅 徒歩約8分

監修

森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

イラスト
©koike amiigo

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