肝機能検査結果の注目ポイント!(AST、ALT、γ-GTP等)
代謝、解毒、胆汁の生成
「最近、肝臓の調子が悪いんです」「それはお酒の飲み過ぎでは?」。こんなやり取りがおなじみになるくらい、肝臓=アルコールを分解する臓器という知識は広く知れわたっています。たしかに肝臓には、「有害物質(アルコールなど)を解毒・分解する」という大切な役割があります。でも、肝臓の仕事はそれだけではありません。肝臓には「解毒」以外にも重要な役割が2つあるのです。
一つは、「取り込んだ栄養素を体に必要な成分に変える」という役割。私たちの体は、食事から摂った栄養素を胃や腸で分解・吸収して肝臓に送ります。すると肝臓は、受けとった栄養素を体が利用しやすい物質につくり変えて貯蔵、その物質を必要に応じて分解・合成し全身の器官や臓器に送るのです。この機能を「代謝」といいます。
もう一つの役割は、「食べ物の消化に必要な胆汁をつくる」こと。胆汁とは脂肪の乳化(水に溶けやすくなること)を助ける液体で、これにより脂肪が腸から吸収されやすくなります。また胆汁は、コレステロールを体外に排出する際にも利用されます。なお、肝機能に障害が起こると黄疸症状(皮膚などが黄色くなる)が現れますが、これは胆汁に含まれるビリルビンという物質が血液中に増えるためです。
検査結果はここを見る!
一つの臓器でこれだけの機能をもつ肝臓は、別名「体内の化学工場」とも呼ばれます。それだけに、何らかの原因で肝臓の働きが弱まると体内にさまざまな異変が起こります。健康診断などで検査を受けたら、肝臓に関係する以下の項目に注目しましょう。
まず見てほしいのは、「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」です。いずれも肝臓の細胞でつくられる酵素の名前で、肝機能に障害が起こって細胞が壊れると、これらが血液中に流れ出て濃度が上がります。その正常値はどちらも30IU/L以下(日本人間ドック学会)。検査結果がこの数値を大きく上回っていたら、急性肝炎や慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝臓がんなどの疑いがあります。
もう一つ注目したいのが「γ-GTP」。こちらは肝臓の解毒作用に関わる、胆道から分泌される酵素で、肝臓や胆道に異常があると血液中に流れ出て濃度が上がります。正常値は50IU/L以下(日本人間ドック学会)。この数値を大きく上回っていたら、アルコールが原因の肝障害や薬剤性肝障害、胆道系の病気などが疑われます。
以上の項目は、肝機能に異常があるかどうかを知る大切な手がかりです。異常の原因までは分かりませんが、数値が正常範囲を超えていたらさらに詳しい検査を受けて原因を究明しましょう。ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎の可能性を確認するなどして、早め早めの対処を心がけてください。
検査可能施設
<東京>
施設名 | アクセス |
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進興クリニック | 大崎駅直結 徒歩約2分 |
進興クリニック アネックス | 大崎駅 徒歩約2分 |
オーバルコート健診クリニック | ・大崎駅 徒歩約5分 ・五反田駅 徒歩約9分 |
セラヴィ新橋クリニック | ・新橋駅 徒歩約9分 ・御成門駅 徒歩約6分 ・内幸町駅 徒歩約5分 ・虎ノ門ヒルズ駅 徒歩約9分 |
浜町公園クリニック | 浜町駅 徒歩約2分 |
立川北口健診館 | 立川駅 徒歩約5分 |
東京ダイヤビルクリニック | ・茅場町駅 徒歩約8分 ・八丁堀駅 徒歩約8分 |
浜松町ハマサイトクリニック | ・茅場町駅 徒歩約8分 ・八丁堀駅 徒歩約8分 |
<名古屋>
施設名 | アクセス |
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ミッドタウンクリニック名駅 | 名古屋駅直結 徒歩約1分 |
<仙台>
施設名 | アクセス |
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せんだい総合健診クリニック | ・あおば通駅 徒歩約6分 ・仙台駅 徒歩約8分 |
監修
森山 紀之(医療法人社団進興会 理事長)
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。
イラスト
©koike amiigo